速報 WIPOの追及権
EUの追及権についての最新状況をお伝えいたします。
国連機関の一つに世界知的所有権機関があります。
英語ではWorld Intellectual Property Organization(WIPO)、フランス語では、Organisation mondiale de la propriété intellectuelle(OMPI)と言います。
WIPOでは著作権等常設委員会(Standing Committee on Copyright and Related Rights)が毎年開催されていますが、セネガルとコンゴから追及権を議題として取り上げるといった提案が出され、ここ何回かの会合ではその点についての議論が行われています。
2017年には、5月1日から5日までSCCR34が開催されましたが、その直前の2017年4月28日には、追及権に係る国際コンフェレンスが開かれ、世界中のアーティスト、著作権保護団体、学者といったメンバーが様々な角度から意見を述べました。
JASPARからは、日本画家の福王寺一彦、早稲田大学知的財産法制研究所招聘研究員である小川明子が参加し、それぞれの立場から発表を行いました。
それに続けて行われたSCCR34では、多くの国が追及権を取り上げることを支持する中、唯一アメリカと日本が懸念を示し、結局この問題は、次回へと持ち越されることとなりました。」
2017年11月に行われたSCCR35を経て、今回2018年5月28日から6月1日開催のSCCR36では、議長から加盟国と利害関係者(Stakeholder)による追及権に関する専門家部隊(Task Force)を設置し、そこで追及権についての検討をさせることが提案されました。
発言した国の中で、追及権を議題に取り上げる事及び専門家部隊の設置への支持を表明した国は以下の通りです。
インドネシア:アジア大洋州グループを代表し、設置を積極的に支持
モロッコ:アフリカグループを代表し、セネガルとコンゴの提案を支持
リトアニア:グループを代表し、設置を支持
EU:議題及び設置を支持
セネガル:議題を支持
エジプト:支持
チュニジア:支持
フランス:支持。導入より2019年で100年目を迎える。この機に導入をしたらどうだろうか。
コンゴ:早急に導入すべき。優先的な議題とすべき。
ナイジェリア:支持
南アフリカ:支持
ブラジル:支持
フィンランド:支持
コートジボワール:設置支持
イラン:設置支持
チェコ:強く支持
ロシア:設置に賛成
ボツワナ:支持
ウガンダ:強く支持
ジンバブエ:議題支持
←前の章(3.各地域あるいは各国の状況(2))を読む
→次の章を読む