7.複製権とは何でしょうか。(第21条、第63条)
著作権自体を英語でいうとcopyright(コピーライト)、すなわち、モノをコピーすることにかかわる権利となりますが、他にauthor’s right(オーサーズライト)、すなわち、著作者の持っている権利という言い方もあります。
これから、著作者の権利のうち、著作(財産)権について説明していきます。
著作(財産)権は、支分権の束であるといった言い方をよくされますが、複製することや上演することにかかわる個々の権利を束ねたものということになります。
そのうちもっとも有名な「複製権」について、まず見てみましょう。
複製権についての条文は以下です。
第21条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
この規定、考えていたよりも簡単に見えると思った方も多いのではないでしょうか。
小説家や詩人、画家や彫刻家、作曲家、振付師といった、その分野のプロのみならず、今e-mailを書いたあなたも、昨日ラブレターを書いた彼も、皆等しく著作者になる可能性があります。
著作者になるための唯一の条件は、著作物を創作したことであり、その作品が著作物であるためには、作者の思想又は感情を創作的に表現したものであることです。
そして、著作者は、自分が作ったその作品(著作物)について、複製をする権利を持っている唯一の人であることを言っています。
それでは、著作者以外の人がその著作物を複製することはできないのでしょうか。
第63条 著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。
著作権を持っている人ならば、他の人が使いたいと希望した場合に、使用を許諾することができると規定されています。続けて、
② 前項の許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる。
第63条第2項では、許諾を得ることで、許諾された条件に沿って利用することができることが述べられています。
なるほど、著作権法は、実態に沿って書かれているなということがお分かりになってきたかと思います。
それでは、許諾を得ることなしに使ったら、よく言われるような「著作権侵害」といった状況になってしまうのでしょうか。
実は、著作権法には、著作者の権利が書かれていると同時に、公正な利用のために、このような場合は無断で使ったとしても著作権侵害とはならないといった、制限規定あるいは例外規定とよばれる規定があります。(2018.4.16)