「1.追及権とは」で追及権は世界80か国以上に存在すると言いましたが、各地域あるいは各国の状況はどのようになっているのでしょうか。
フランス
まずは、最初に追及権の考え方が芽生えたフランスを見てみましょう。
現在、美術品の取引市場規模は、イギリスに続いてヨーロッパ第二位となっています。
フランスは1920年世界初の追及権が生まれた国です。
2001年に欧州指令(後述)により、それに沿った内容に変化させました。
フランスの特徴としては、任意徴収制度を取っており、美術の著作者が自身で追及権の管理を行う(又は管理団体を作る)か、あるいは著作権管理団体に徴収を依頼しています。
主な管理団体は、Administration Picasso (ピカソ財団)、Société des Auteurs dans les Arts graphiques et plastiques (ADAGP)があります。
尚、日本では、ピカソ財団はBCFが、ADAGPはJASPARが独占的な窓口となっており、仮に追及権が日本にできた場合にも、海外の管理団体からの追及権料の受け入れはそれぞれの日本の団体が窓口となって行われます。
イギリス
イギリスは、2001年の欧州指令に従って、2006年から追及権制度を導入しました。現在、美術品の取引市場規模としては、ヨーロッパで第一位です。
イギリスの法制度の特徴としては、強制徴収制度を取っています。
つまり、一つあるいは複数の著作権管理団体が追及権の徴収を行い、それを著作者に分配する制度であり、著作者が直接販売に係る人々に請求することはできません。
現在の徴収団体は、Design and Artists Copyright Society(DACS)とArtists Collecting Society(ACS)です。
尚、日本では、DACSはJASPARが独占的な窓口となっております。
←前の章(2.追及権の歴史)を読む
→次の章(3.各地域あるいは各国の状況(2))を読む